こんにちは。
【管理栄養士】のIです。
水を食べるってどういうこと?と不思議に思った方も多いのではないでしょうか。
実は食品を作っていて「これは、水を食べている!」という発見がありました。それは、こんにゃくです。今回は、こんにゃくについてお話します。
私の地元はこんにゃく芋の生産が日本一で、野菜の直売所や八百屋さんにこんにゃく芋がそのまま売られています。「こんにゃくを家で作りますか?」と食育の授業で小中学校の皆さんに聞いたところ、一斉に手が上がるほど家庭料理にこんにゃく作りがあります。お正月料理では、各家庭で様々なこんにゃく料理が作られます。この地域で私が好きなこんにゃく料理は、80歳を過ぎたご近所さんが作ってくれる「ピリ辛風味の生こんにゃく」です。とろけるような透明さとふにゃっとしたやわらかな歯ごたえのこんにゃくで、噛み締めると唐辛子のピリ辛さも感じる味わい深いこんにゃく料理です。
手づくりこんにゃくは市販には無い美味しさがあります。我が家では、子供達から味噌汁に入れてほしいという要望が多いので、時間があるとこんにゃく芋の皮をむいて2kgほどのこんにゃくを一気に作っています。このこんにゃくを作る時に必要なのが水です。大体、各家庭で少し異なると思うのですが、我が家では芋1個で600g前後の重さに対して水を1600㏄必要とします。1回で2.2kgほど出来上がりますがそのうち水の占める割合が70%以上にもなります。生芋ではなくて乾したり粉にしたこんにゃく芋を使って作った場合だと、90%以上の水を必要とします。まさにこんにゃくは水を食べる食品です。
とても不思議なのは、この地域は、水に苦労している地域なのです。赤城山から水を引き入れるために大変な苦労をした記録が数多く残っています。土壌は水はけが良すぎるほどサラサラしていて、今でも台風や大雨が起こるとあっという間に庭の土や畑の土が流れてしまいます。このような水をため込む力が少ない土壌で開拓の人達が、こんにゃく芋を栽培し、こんにゃくに変えて苦労して手に入れた水を美味しく食べる方法にたどり着いたのかと考えると、すごい知恵だと思いませんか。こんにゃく芋は1年ではできず、毎年一度土から出して保管して、また土に入れての繰り返しをして大きく育てていきます。3年経ってやっとこんにゃく芋となります。そんな地道な苦労の果てに、今は、「水を食べる」食文化として子供達にこんにゃく作りが伝承され、さらに水を守るために山を守る文化も育っていて素敵だなと思います。
皆さんの地域で食べているこんにゃくはどこの水で作っているのでしょうか。こんにゃくの産地と美味しい水の水源地は、もしかしたら近いのかもしれません。