こんにちは【管理栄養士】のIです。
自分の地域の伝統料理ってありますか?
と管理栄養士の仕事柄、そのような質問を受けることがあります。
伝統料理というと、昔から受け継がれてきた地域の料理というイメージがあります。
東北のきりたんぽ鍋やせんべい汁、長崎の卓袱料理などが浮かびます。
以前は自分の地域には伝統料理は無いかな~と考え込んでしまうこともありました。
ですが、家で食べてきた料理や地域のお祭りなどの時に食べてきた味も
有名な伝統料理と同じ位大切ではないかと今は思います。
数年前に大学で食育の授業をしていたころ、学生たちに自分たちの地域の伝統料理は何?と聞いたことがあります。
長崎ちゃんぽんなどさっと浮かぶ地域に住んでいる生徒を除いて、
学生たちの多くが以前の私と同じように悩んでしまっていました。
アメリカに長く住んでいた学生は「日本とは異なり歴史が浅い地域だったから伝統料理はない」というほどでした。
そこで、伝統料理ではなく、「家で食べる特別な味、思い出の料理は?」、
「お祭りやお祝いで食べる大好きな料理は?」と問いかけを変えてみました。
すると、先ほどのアメリカに住んでいた学生は「家族でバーベキューをするのが楽しみだった。
いつもホームパーティーをして楽しかった」と思い出を語ってくれました。
自分たちの地域の伝統料理が浮かばないと言っていた学生たちも
「大みそかに家族で作るそばが楽しみだった。私は天ぷらを担当していた」「父の作るカレー」、
「特別なお祝いに作ってくれた祖母のちらし寿司」、「餃子パーティー」、「庭の野菜で作った天ぷら」、
「妹が作ってくれる誕生日の料理」、「庭で食べる流しそうめん」など思い出を沢山記載した料理が次々と出てきました。
それらはどれも生活を共にしてきた人達と作り上げた食文化の歴史の1ページでした。
小さいころから楽しみに食べてきた味やお祝いやお祭りの時に食べてきた味は、
何年たっても食べた瞬間にいろんな記憶が色鮮やかに戻ってきます。
「あ、この味!」、「これを食べると家に帰ってきたと思う」、
「お祭りの時はこれを食べないとね~」という思い出がよみがえって話がはずみます。
焼き菓子やかき氷など、その場でさっと作っただけのものでも食べた瞬間にいろんなことが思い出します。
そんな風に皆さんが食べたいと思った味には素敵な思い出も一緒に残っているのではないでしょうか。
その思い出が繋がって、食文化の継承になっているのかもしれません。
夏になると、故郷に戻ったり、自分の好きな味を食べる機会が増えたりすると思います。
我が家の味って何だろう?何でこの味好きなんだろう?と、ふるさとで記憶をたどるのも楽しいですね。
ちなみに我が家の思い出の味は、ピーマンの肉詰めと、ビーフシチュー、白身魚のバジル焼き、
誕生日に作るケーキ、毎年行く旅行先の焼肉屋さんでした。
皆さんの思い出の味は何ですか?