こんにちは。
アシスタントPRディレクターのKです。
今夏、スペインのバルセロナやマヨルカ島で、観光客に向けて住民が水鉄砲を浴びせる抗議デモが行われました。
観光客の増加によって住宅価格が高騰し、街が観光施設化して住民の暮らしが脅かされていることへの強い不満の表れです。
観光は都市経済を潤す一方で、「観光負荷」と呼ばれる生活圧迫の問題を生むことが、改めて可視化された出来事でした。
観光都市京都に住む私にとっても、この話は他人事ではありません。私はこの春、引っ越しをしたのですが、最寄りのバス路線は清水寺、
八坂神社、平安神社と有名観光地を次々に通ります。四季折々の美しい景色を日常の延長で見られるのは大きな恩恵です。
しかし一方で日々の混雑は深刻です。ときには、急いでいてもバスに乗れずに見送ることもあります。旅行者にとっては特別なひとときでも、
そこを生活の足として使う住民にとっては切実なストレスになるのです。
観光都市が直面する「観光負荷」は、交通混雑に限りません。住宅の民泊化による家賃の上昇、ごみや騒音、
日常の商店が観光客向けに姿を変えることなど、多方面に及びます。スペインで住民の不満が爆発した背景には、
生活の基盤を守りたいという切実な願いがあったことに共感を覚えます。
海外の都市ではすでに様々な対策がとられており、バルセロナでは短期賃貸の制限や観光税の強化、アムステルダムでは宿泊税を引き上げて観光客数を抑制しています。
「観光客を増やす」から「住民と旅行者の快適さをどう両立するか」へ、政策の軸足を移しているのです。
観光都市京都もまた同じ岐路に立っています。観光は重要な産業であり続ける一方で、そこに暮らす人々の満足度を犠牲にしては持続可能性はありません。
スペインの水鉄砲デモは極端な行為でしたが、京都に暮らす私たちにとっても、観光と生活の折り合いをどうつけるのかは避けられない課題です。観光都市としての成長と、市民が心地よく暮らせる環境。その両立こそ、これからの観光都市が目指すべき方向ではないでしょうか。