こんにちは。
【アシスタントPRディレクター】のKです。
私は京都の自宅で在宅ワークをしつつ、たまに東京のオフィスに出社しています。
先日、東京のスタッフに、東京でおすすめの日本酒を聞いたところ、
ちょっと変わったものを紹介してくれました。
そのお酒は、仕込みになんと水道水が使われているとのこと。
水道水、と聞いて、思い出したことがありました。
私がアメリカの大学で、コミュニケーションを勉強していた頃の話です。
PRに欠かせない「情報」ですが、
情報はどれほど味覚に影響を与えることが可能か、というテーマで授業がありました。
教室には2種類の水で淹れたというコーヒーのポットが用意され、
ポットの前に置かれた紙にはそれぞれ、
・NATURAL SPRING WATER(市販の水の商品名)
・TAP WATER(水道水)
と、書かれてありました。
どっちが美味しいかと予想を聞かれて、水道水を選ぶ人はいません。
そこで普段からコーヒーをよく飲むという生徒4人が試飲をしたところ、
3人が市販の水で淹れたコーヒーのほうがより美味しいと答えました。
水道水は美味しくない、薬品のにおいがする等々3人が得意げに見解をのべるなか、
にやりと笑って、二枚の紙を入れ替えた先生。
市販のスプリングウォーターと思っていたのは、実は3人が口々にけなした水道水だったのです。
「美味しいと感じたのは自分の舌か、紙に書かれた情報か、どちらでしたか?」と問う先生。
「情報がいかに味覚をも支配するか」を目の当たりにした瞬間でした。
実際、情報が味覚に影響を与えることは珍しくありません。
メニュー名を変えただけで同じ料理でも試食の感想が変わったという実験もありますし、
「ミシュランシェフ監修」や「2時間並んで買った」と聞くと、3割増しで期待が高まりませんか。
消費者に「こんな印象を与えたい」というところから逆算して、
情報を、どのタイミングで、どのように伝えるかは、PRの本領が発揮されるところです。
さて、前出の水道水仕込みのお酒ですが、
こちらは、水道水で醸す都会のお酒という切り口で、
水道水仕込みを逆に利用して、消費者の心をうまく掴んでいるようです。