弊社のある千代田区神保町は、200店舗近い専門書・古書店が集まる「日本一の本の街」と言われています。
文字通り、界隈を少し歩けば何軒もの本屋を見つけることができます。
古書店を巡り、お腹が空いたらカレーを食べて（神保町はまたカレーの街としても有名）、
お気に入りの一冊に出会えたら、ノスタルジックな喫茶店でコーヒーを飲みながら買ったばかりの本をめくる…、
そんな時間の過ごし方を楽しめる神保町です。
まだ入社間もない1990年代後半のこと、普段は通りすぎるだけの古書店で、
「運命的な出会い」、ともいえる一冊に出会ったことがあります。
いつも通りすぎていた一軒の古書店に、何故か入ってみようと思いたち、
真っ先に目についた一冊の文庫本を手に取りました。
それが、ローマ皇帝であり哲人でもあったマルクス・アウレーリウスの「自省録」、
私にとっては初めての哲学書でした。
帰りの電車で早速、ページを開いてみると、前の持ち主の仕業でしょうか、数か所に傍線が引いてありました。
―冗舌家たちにおいそれと同意せぬこと
―もっともよい復讐の方法は自分まで同じような行為をしないこと
―エメラルドは人に褒められなくてもその価値を失わない
前の持ち主がどんな人物で、どんな言葉を求めてこの本を開いたのか…、思いを巡らしながら読み進めました。
四半世紀たった今も、時折ページを開いては2000年前の皇帝の言葉に勇気づけられています。
ベストセラーや話題のもの中心の大型の書店やオンライン書店では出会えない楽しみが、古書店にはあります。
